2010/02/01

20-31

1月20日:Pinacothèqueにて、L'Âge d'or hollandaisのエクスポ。

1月26日:Poissyにあるル・コルビュジェの建築Villa Savoye見学。

居住空間は、立った視点と、座った視点とでは随分と違った味わいがある。初めて訪れる場所はどうも緊張してしまうので、落ち着くために一度座って見る。開口部いっぱいにとられたリビングの窓から眺める”屋上庭園”は、冬の曇天のせいか寒々しい。初夏の日差しがある時なんかだったら、本を片手にのんびりソファに寝そべって、子供たちが日光浴をしているのを眺めながら、手でも振ってあげたくなるに違いない。
”明るい時間”と名付けられた別荘ということだが、曇り空にしては確かに室内が明るく、各部屋の窓から入ってくる景色がやけに優しい。うまく自然に溶け込んでいる感じで、室内から眺めても、外から建物を眺めても、空と草木に包まれている。

1月29日:Musée d'Orsay、James Ensor展。

アンソールの自己主張に疲れを感じつつも、マスクをつけた人物たちが策謀をめぐらせているL'intrigueには感嘆。一般的に言って、マスクの下には生身の顔が存在すると思うのだが、アンソールの描くマスクには生身の弱さが透けて見えてこない。仮面の裏には骸骨があるどころか、空虚が口を開けているような気がする。とりつくろわれた表面が、そのまま人間を作ってしまっているような哀しい人物たちで、背筋が寒くなる。べったりした奇妙に明るい色彩も不吉だ。

1月31日:Théâtre de la Ville - Abbessesにて、Bérangère Jannelle演出によるモリエールのAmphitryon

肉体疲労時の言語劇は睡眠薬である。権力批判、すべての登場人物における自己同一性の揺らぎ・人格の二重化など、耳で聞くにはテーマも混み入っている。2009年の『フィロクテテス』の時の舞台装置を使いまわししていること(台形の大型斜面。側面に穴をあけて、舞台袖のようにも屋内のようにも使うことができるし、紗幕の面には投影もできる)と、ソジーを演じるOlivier Balazucの顔だけ覚えてはいる。